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- 始まりの子
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その赤ん坊は五感を持たず生まれ、動くことすらできなかった。
生き延びる術を何一つ持たぬ彼が持っていたのは、“魂を分け与える力”だった。
彼に触れ、魂を分け与えられた人々は、心の傷、病、怪我、あらゆる傷が癒やされた。
人々は彼を宝物のように扱った。
同時に、傷が癒える間に人々が得た知識、能力、才能は全て、分け与えられた赤ん坊の魂の欠片の中に刻まれ、その者達が死ぬと彼の許へと還り、その度に彼自身を癒した。
光を取り戻し、音を取り戻し、手足の自由を取り戻した彼は、人々が彼の事を人々の信仰する神の名で呼んでいることに気付いた。
彼はその名を自らの名とすることに決めた。
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- 聖文字
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星十字騎士団の中でも、選ばれた滅却師のみが、ユーハバッハから与えられる特別な能力の総称。
ユーハバッハの血を体内に取り込むことで、その滅却師の特性に合った固有の能力が開花する。
聖文字はアルファベット一文字で、特殊能力を象徴する名称の頭文字と一致する。
シャズ・ドミノのように聖文字が不明な騎士や、ユーハバッハから聖文字を与えられたわけではないものの固有能力を有する者もいると噂されている。
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- 見えざる帝国
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ユーハバッハが統治する滅却師の帝国。
その前身はかつて何処かに存在したとされる『光の帝国』である。
千年前、『光の帝国』皇帝ユーハバッハは当時の星十字騎士団を率いて尸魂界に侵攻したが、山本元柳斎重國を筆頭とする護廷十三隊によって返り討ちに遇い、存亡の危機に立たされた。
行き場を失った滅却師たちは、死神たちが最も警戒していなかった瀞霊廷の中へと逃れ、あらゆる『影』の中に霊子空間を創り、それを以て『見えざる帝国』と呼称されることとなった。
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- 瞬閧
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白打と鬼道を練り合わせた戦闘術の名称。
術者は背中と両肩に高濃度に圧縮された鬼道をまとい、それを炸裂させることで鬼道を手足へ叩き込み戦闘を行う。
技の発動と同時に強烈な炸裂が起こされるため、瞬閧の使い手である四楓院夜一や砕蜂の着用する刑戦装束の背中と両肩の布は存在しない仕様となっている。
また、術者の霊圧によって技の属性が変化する。
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- 侵影薬
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浦原喜助が開発した『卍解奪掠を阻止する』特効薬。
卍解を持つ人にのみ反応する接触吸収型の丸薬。
吸収された丸薬は魂魄の内側まで浸透し、そこに含まれる極少量の『虚の力』で卍解を一瞬だけ虚化させる。
虚に対して抗体を持たない滅却師にとって虚の全ては毒そのものであり、虚化した卍解もまた毒となるため、生命維持のために奪った卍解を体外に放出せざるを得なくなる。
奪い返した直後に死神が卍解する場合、副作用として、虚のような仮面が現れる場合がある。
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- 刀剣解放
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刀剣解放、あるいは帰刃。
破面たちが使う斬魄刀は『虚としての本来の能力』を刀の姿に封じたものであり、刀剣解放することで破面たちは『真の姿』となり『真の力』を使うことができる。
刀剣解放には二段階目があるとされるが、詳細は不明である。
魂魄の力を刀の形に収めること、それを解放し大きな力を得ることという点で、刀剣解放と卍解はほぼ同質と言える。
それにも拘わらず滅却師たちが破面の刀剣解放を奪わなかったことがヒントとなり、浦原喜助は侵影薬の開発に至った。
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- 人化の術
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人狼一族に伝わる能力強化術。
人狼一族は元々、生前の罪咎により畜生道に堕ち、獣の姿とされながらも死にきれず、その姿のまま尸魂界へと舞い戻った。
その罪咎の鎖を一時断ち、獣としての罪を受ける以前の姿、すなわち人の姿へと立ち戻り絶大な力を得る術を『人化の術』という。
術者は自らの心臓を捧げ、一時的に不死の肉体を得ることができ、人の姿でいる間は如何なるダメージを受けても息絶えることはない。
しかし、ひとたび術の効力が消えれば、人狼に戻るのではなく完全な獣と化す、生涯一度きりの術である。
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- 滅却師完聖体
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滅却師の能力強化術。
石田宗弦が執心していた滅却師最終形態とは異なる物である。
聖文字の能力をより効果的に解放し、戦闘力を飛躍的に高めることができる。
頭に星型の輪、背中に翼が出現する形での発現が主だが、形状は使用者によって差異が見受けられる。
“J”の聖文字を持つキルゲ・オピーはこの状態で、滅却師の基本能力である霊子の集束を極限まで高めた霊子の絶対隷属である「聖隷」を使用し、虚すら吸収して見せた。
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- 卍解『金沙羅舞踏団』
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護廷十三隊三番隊隊長・鳳橋楼十郎が持つ斬魄刀『金沙羅』の卍解。
卍解の発動と同時に、金沙羅の形状は、金の鞭から紐細工のように変容し、十数体の踊り子からなる舞踏団とそれらを指揮する手へと姿を変える。
楼十郎の指揮で舞う舞踏団は、演目に合わせて様々な幻覚を見せる。
その幻覚の正体は『音楽』であり、音そのもの。
まやかしの旋律は相手の心を奪うと同時に、見せた幻覚を現実の事象と化してダメージを与え、やがては死に至らしめる。
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- 卍解『鐵拳断風』
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護廷十三隊九番隊隊長・六車拳西が持つ斬魄刀『断風』の卍解。
断風は斬った太刀筋を炸裂させる斬魄刀で、『鐵拳断風』はその炸裂の威力を拳に込めた卍解である。
形状は戦闘の状況に応じて変化させることが可能。敵に拳が触れている間、高速で無限に炸裂の力を叩き込み続ける。
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- 霊王宮と瀞霊廷
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霊王宮と瀞霊廷間の距離は「死神たちの普通の瞬歩で1週間かかる」ほど離れている。
死神の基本の戦闘術たる斬拳走鬼、その一角である歩法・瞬歩は個人差はあれど高速の移動術であり、零番隊の通常の移動手段が天柱輦の使用であることを踏まえると、相当の距離であることがわかる。
また、瀞霊廷と霊王宮の間には七十二層の防護壁が存在しており、そのことからも、頻繁な往来を想定していないことが察せられる。
零番隊が黒崎一護らを連れて霊王宮に戻った際、志波空鶴は兵主部一兵衛より渡された「通天道図」を元に、天柱輦を打ち上げた。
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- 卍解『白霞罸』
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現在尸魂界で最も美しいと言われる、ルキアの持つ氷雪系の斬魄刀・袖白雪。
真の能力は、所有者自身の肉体を氷点以下にするものであり、その中では全ての分子の運動は停止する。
卍解することに伴い、足元と空の両方に湖面のような凍気が発生し、中心をルキア自身を源とした凍気の柱が貫く。
その際、刀の鋒の先へも凍気が走り、これに襲われた場合、全身が凍結し氷の塵となって風化する。
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- 三歩剣獣
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十一番隊副隊長・草鹿やちるの「剣」の名称、或いは常にやちるの剣の前後に存在するという謎の剣獣の総称。
柔らかそうな毛に覆われた前獣は「モコモコ」、布を纏った骸骨のような後獣は「ホネホネ」と呼ばれている。
かつて、檜佐木修兵が『瀞霊廷通信』で、やちるに取材を試みたが、聞き出せたのは二体の名前だけだったという。これらが始解であるのかどうか、生命体であるのかどうかすら不明。
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- 聖文字 “V”
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星十字騎士団 グレミィ・トゥミューに与えられた聖文字。空想を現実にする夢想家=The Visionaryの能力を表す。
グエナエル・リーも自らを“V”(消失点=Vanishing point)と名乗ったが、グエナエルもグレミィの能力で生み出された存在に過ぎない。
その危険性と及ぼす影響の大きさから、グレミィは銀架城内の中でも、ユーハバッハによる特殊な結界により封印される檻に収監されていたという。
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- ユーハバッハの眠り
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ユーハバッハは、眠りの間のみ「滅却師の父」としての存在に戻り、力を蓄える。
ユーハバッハと同様の「分け与える力」を持つハッシュヴァルトは、ユーハバッハの分身とも言える存在であり、眠りの間、「支配者の仮面」を預かって王の代行を務める。
ユーハバッハの魂を与えられた者は全て、死ねばその力と魂はユーハバッハの許へ還り、吸収され、ユーハバッハの糧となる。
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- 月牙十字衝
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斬撃の瞬間に持ち主の霊力を喰らい、刃先から高密度の霊圧を放出することで斬撃そのものを巨大化して飛ばす技である月牙天衝。
『斬月』が二刀になったことにより、一護は新たな技を会得した。
左手の『斬月』を水平に引き1つ目の月牙を発生させ、そこに右手の『斬月』を縦に振り抜いて放った2つ目の月牙を衝突させる。
その際、水平の月牙に対しても霊圧が注ぎ込まれるため、巨大な十字となった月牙が敵に向かって進んでいく。
その威力は絶大である。
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- 霊王宮の障壁
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黒崎一護が霊王宮での修業を終え、瀞霊廷に戻った際に着用していた衣は、「王鍵」と呼ばれる零番隊の骨と髪で編まれている。
王鍵の耐性と防御能力は、霊王宮と瀞霊廷の間にある七十二層の障壁を突き破り、かつ高速で降下する一護を摩擦から守る為に欠かせないものだったが、それ故に、その後6000秒の間、障壁に開いた孔は塞がらず、ユーハバッハが霊王宮へと向かう「道」を作る結果となってしまった。
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- 十二番隊地下砲台
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零番隊の動きを受けて、事態を予見した涅マユリが密かに技術開発局の地下で建造していた、志波家の花鶴大砲のレプリカ。
花鶴大砲が砲身から霊珠核や天柱輦を射出するのに対し、レプリカは台座の上にセットした砲身型の舟を直接打ち上げるという点が大きく異なる。
志波家秘伝の技術で造られた花鶴大砲を完全にコピーすることはできず、打ち上げのエネルギーの確保・耐用性などの問題から1度しか使えない。
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- 鬼道
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死神の主要な戦闘術『斬拳走鬼』の一つ。
言霊を唱えて己自身の霊圧を制御し術を発動する。
攻撃に特化した『破道』、抑止する効果を持つ『縛道』の2種に分類され、それぞれ数字が振り定められている。
術の威力は使用者の力量や、破棄・後述等の詠唱方法によっても異なる。
主に鬼道衆が管理する呪術だが、死神が自ら開発することも可能であり、高度な鬼道の才を持つ伊勢七緒は滅却師の力の侵入を防ぐため『白断結壁』を開発した。
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- 卍解『千本桜景厳』
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護廷十三隊六番隊隊長・朽木白哉が持つ斬魄刀『千本桜』の卍解。
千本桜は刀身が千枚の刃に枝分かれする斬魄刀で、分かれた刃の閃きが花びらの様に見えるもの。
そして、『千本桜景厳』は地中から生じた刀列が花と散り敵を襲う。
その刃片は数億ともいわれ、死角皆無の完全なる全方位攻撃により敵の全身を切り刻む。
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- 光の帝国
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千年以上前、対虚戦に特化した退魔の眷属とされる滅却師たちが暮らしていた帝国。
弓矢とは異なる力を持っていたユーバッハは、『光の帝国』を制圧し治めていた。
滅却師の民には仲間や身内を虚に殺された者も多くおり、仇を討つという信念を持ちながら虚と対峙していたが、虚を滅却する滅却師は三界のバランスを崩す存在でもあった。
いずれやって来る死神との衝突を滅却師の脅威としたユーハバッハは尸魂界に侵攻するが、山本元柳斎重國率いる護廷十三隊の前に敗れることとなる。
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- 親衛隊
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ユーハバッハが初めて聖文字を与えたと言われる滅却師のリジェ・バロ。
与えられる前から既に力を持っており、ユーハバッハに力を与えられていない滅却師であるジェラルド・ヴァルキリー、ペルニダ・パルンカジャス。
そして、尸魂界への第二次侵攻より唯一連れてこられたアスキン・ナックルヴァール。
以上 4 名で構成されるユーハバッハ直属の精鋭部隊が「親衛隊」であり、その力は計り知れない。
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- 死神
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死覇装(しはくしょう)と呼ばれる黒い着物を身に纏い、斬魄刀(ざんぱくとう)という刀を帯刀している。
死後の世界にあたる尸魂界(ソウル・ソサエティ)に存在する組織「護廷十三隊」に所属しており、「整」と呼ばれる迷いし霊を尸魂界へ導いたり、「虚」と呼ばれ生者・死者を区別なく襲い魂を喰らう存在を昇華したりと、現世と尸魂界にある魂魄の量を均等に保つため調整を計る役目も担う調整者である。
個性や能力によって異なるが、「斬拳走鬼」と呼ばれる斬術・白打・歩法・鬼道の四つの戦闘方法を基本とする。
一般には、相当霊感のある人間でなければ、その姿を見ることはできない。
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- 破面
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仮面を外し、死神の力を手に入れた虚(ホロウ)。
崩玉の作用により個体数が激増し、外見が人間に近い成体が完成した。
虚であった時の力が強大な者ほど高い戦闘能力を持ち、より人間に近い形になる。
割れた仮面と白い死覇装を纏い、斬魄刀を携えている。破面の斬魄刀は破面自体の能力の「核」を刀の姿に封じたものであり、
死神の卍解にあたる帰刃(レスレクシオン)をすることによって、真の能力と姿を解放することができる。
また霊圧硬度の高い鋼皮(イエロ)や、瞬歩や飛廉脚に匹敵する響転(ソニード)をいう高速移動能力を持ち、
虚閃(セロ)を使うことができる。一般的には、虚時の超速再生能力を失っている。
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- 虚圏
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現世と尸魂界の挟間に存在している、虚が巣食っている空間。黒腔(ガルガンタ)を通らなければ入ることができない。
常に夜であり、現世とは月が反転して映っている。
地表は白い砂のようなもので覆われ、石英のような物質で構成された枯れ木が散在している。水は存在しない。
現世や尸魂界と比べて大気中の霊子濃度が高く、一般的な虚であれば呼吸をするだけで十分な栄養を得ることができる。
また、死神や滅却師の戦闘能力も大幅に上昇する。
かつて藍染惣右介とその部下たちが虚圏(ウェコムンド)にある虚夜宮(ラス・ノーチェス)を占拠していた。
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- 滅却師
- 強い霊力を持ち、人間に害なす虚を完全に消し去ることを目的としている集団。
生き残りは石田雨竜をはじめ僅かと思われていたが、「見えざる帝国」を名乗る滅却師の一団が尸魂界に対し宣戦布告を行う。
白い軍服に身を包み、「神聖滅矢」(ハイリッヒ・プファイル)と呼ばれる霊子を集束させた矢を放つ/飛簾脚という高等歩法を使用する/霊子を血液中に流して攻撃力を高める「動血装」(ブルート・アルテリエ)と、
防御力を高める「静血装」(ブルート・ヴェーネ)という二つの血装により肉体を強化することができるなど、多種の能力を持つ。
虚を浄化して尸魂界へ送り魂魄の総量を把握・バランスを調整する役目を担う死神とは、千年以上にわたって対立しており、二百年前にその大多数が死神によって殲滅された。
全ての滅却師が始祖であるユーハバッハの血を引いており、しばしば純血統滅却師(エヒト・クインシー)と混血統滅却師(ゲミシュト・クインシー)を区別して呼ぶことがある。
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- 卍解
- 斬魄刀解放の第二段階であり、第一段階である始解と比べると、
その戦闘力は一般的に五倍から十倍に跳ね上がる。
斬魄刀との“対話”と“同調”で会得することができる始解とは異なり、
卍解に至るには、斬魄刀の化身を“具象化”させ、その化身を“屈服”させる必要がある。
斬魄刀の“真の名前”を唱えることで発現し、始解以上に千違万別な能力・形状に変化する場合が多い。
卍解状態を維持するためには膨大な霊力を要するため、
護廷十三隊隊長格であっても長時間維持することは難しい。
また、基本的に、一度破損した卍解は修復されることはない。
十一番隊という例外を除き、護廷十三隊の隊長になるには卍解を会得していることが条件の一つとも言われる。
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- 護廷十三隊
- 瀞霊廷および尸魂界の護衛、現世の魂魄の保護等を目的とし、山本元柳斎重國によって創設された組織。
全権を握る総隊長兼一番隊隊長を中心に、十三の隊で構成されており、階級は基本的に戦闘能力によって決められている。
「護廷十三隊は高尚な組織である」という中央四十六室の建前上、厳しい隊律があり、本人の意思による脱退は認められていない。
各隊の主義や気質は隊長の影響を強く受けるため、隊毎に大きく異なる。また各隊には隊を象徴する隊花があり、瀞霊廷内にある各隊舎や副隊長が持つ副官章に刻まれている。
十二番隊の付属機関である技術開発局や、隠密機動、鬼道衆など各組織とのつながりも強く、しばしば各組織の長と隊長が兼任となる場合がある。
一般的に真央霊術院を卒業した者が入隊し、別の隊への異動や昇進などが命じられることもある。
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- 星十字騎士団
- 見えざる帝国(ヴァンデンライヒ)に属する滅却師の精鋭部隊で、中でもユーハバッハから聖文字(シュリフト)と呼ばれる固有の能力を与えられたメンバーは護廷十三隊の隊長格をも圧倒する戦闘力を持つ。
死神の卍解を奪うことができるメダリオンを所持し、尸魂界への侵攻に臨む。
弓矢とは一見異なる銃や剣などの形状をした霊子兵装を使用する者や、想像を超えた強化形態となる「滅却師完聖体(クインシー・フォルシュテンディッヒ)」を発動できる者がいる。
千年前の戦争で護廷十三隊に敗れて以降、「影の領域(シャッテン・ベライヒ)」と呼ばれる霊子の空間の外では、活動に時間制限が生じる。
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- 黒腔
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現世と虚圏をつないでいる穴。虚や破面が現世と虚圏を行き来する際に開かれ、普段は閉じている。
中に道はなく霊子の乱気流が渦巻いているため、通行者は霊子を固めて足場を作りながら進まなければならない。
藍染との戦いへの備えとして尸魂界から指令を受けていた浦原喜助は、「我が右手に界境を繋ぐ石 我が左手に実存を縛る刃 黒髪の羊飼い 縛り首の椅子 叢雲来たりて 我・鴇を打つ」という口上と共に術を発動することにより開いて、調整・安定させることができる。
また、涅マユリは虚圏にてザエルアポロの資料を用い黒腔の機構を
解析、より高い精度で黒腔を開く装置を開発。
尸魂界と虚圏を繋ぐことを可能とした。
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- 元字塾
- 流派「元流」の開祖である山本重國が開いていた私塾。
当時の山本重國は、額に「丿」の字の傷があったことから周囲からは「丿字斎」と呼ばれ、その名は武功を上げる度に尸魂界中に広まっていった。
山本重國は元字塾の総師範としても門下生の指導にあたっており、その経験が死神育成教育機関である死神統学院(現在の真央霊術院)にも繋がったものと思われる。
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- 死神と滅却師
- 虚を浄化し尸魂界へと送る死神と、虚を滅却し消滅させる滅却師。
魂魄の均衡を保つため、死神は滅却師に対して何度も対話を試みてきたが拒否され続け、
その対立はときに戦いにまで発展した。
千年前、ユーハバッハ率いる星十字騎士団が尸魂界に侵攻したが、
山本重國が創設した護廷十三隊の存在を前に敗退することとなり、側近の兵すらも失ったユーハバッハは退却、
影の領域に身を潜めた。
そして二百年前、尸魂界は長い議論の末、滅却師殲滅作戦を決行。
数少ない生き残りを残し、滅亡したはずだった。
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- 残火の太刀
- 山本元柳斎重國の斬魄刀にして焱熱系最強最古である「流刃若火」の真の名。
卍解後、刀身は焼け焦げた炭のような状態になり、尸魂界中の大気から水分を飛ばしてしまうほどの影響を及ぼす。
長時間卍解し続ければ刀を操る本人や尸魂界をも滅ぼしてしまうほど強力であり、
その真価は東西南北を冠した形態の異なる四つの技を発動することによって発揮される。
一千五百万度にまで達する熱は、触れたものを跡形もなく灼き飛ばしていく。
“西”「残日獄衣」発動時に見える炎は、山本元柳斎重國の持つ圧倒的な霊圧が可視化したものと思われ、
“南”「火火十万億死大葬陣」は過去に斬った者の灰に熱を与え、亡者たちを一時蘇らせる力を持っている。
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- 護廷十三隊
- 山本元柳斎重國が創設した死神の組織。結成当初は現在の護廷十三隊より殺伐としており、出自も各人各様で、大罪人だった者もいた。
また、「護廷」とは名ばかりで戦いへの誇りや民を護ることへの信念といったものはなく、敵を討つに利するものは全て利用するような荒くれ者の集う殺し屋の集団だった。
それ故にその戦闘力は凄まじく、千年前の争いでは滅却師の軍隊を殲滅、退却させている。
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- 血装
- 滅却師は血管に直接霊子を流し込むことによって、自らの攻撃・防御能力を共に強化することができる。
発動する滅却師の力が強いほど強化後の肉体も強力となり、卍解時の死神にも匹敵する。
血装には攻撃に有用な「動血装(ブルート・アルテリエ)」と防御に有用な「静血装(ブルート・ヴェーネ)」の二種類があり、
体内でそれぞれ独立した霊子システムを使用する為、二つを同時に発動することはできない。
純粋な滅却師には生まれながらにこの力が備わっており、そうでない滅却師でも鍛錬によって身につけることができる。
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- 破壊された卍解
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始解の状態で破壊された斬魄刀は、時間をかけて所有者の精神と霊圧を注ぎ込むことで修復が可能。
だが、卍解した状態で破壊された場合はまるで意味が異なり、その卍解は二度と元に戻ることはない。
過去に破壊された卍解の例として、斑目一角の「龍紋鬼灯丸」と、阿散井恋次の「狒狒王蛇尾丸」が挙げられる。
前者は、破面のエドラド・リオネスとの戦いで破壊されたため、現在は形のみ修復された状態であり、本来の能力を発揮することはできない。
後者は、朽木白哉との戦いで刃節の一部を破壊され、それ以来破損した状態のままである。現在確認されている例外は狛村左陣の「黒縄天譴明王」一振りのみ。
所有者と斬魄刀が極端に結びついており、明王が破壊された場合には狛村自身も負傷するという欠点が有るが、代わりに彼の傷が癒えれば斬魄刀も復活する。
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- 零番隊
- 霊王宮及び霊王を守護することを目的とした、尸魂界最高戦力の部隊。
構成員は五人、その全員が隊長を務めるという特殊な形を取っており、その総力は護廷十三隊全軍を凌駕するとされる。
普段は霊王宮に駐在しており、霊王宮に立ち入る為には彼らの力が不可欠である。
零番隊への入隊にはとある条件が設けられており、尸魂界に於いて条件を満たし霊王に認められた者のみが所属する。
彼等が掲げた旗に描かれているのは、隊花である「沈丁花」。
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- 麒麟殿
- 零番隊「泉湯鬼」麒麟寺天示郎の統べる城。街の中に巨大な湯殿があり、そこで行う湯治こそが麒麟寺の‟儀”である。
傷んだ霊圧を血と共に抜く白骨地獄と、新しい血と霊圧を補給する血の池地獄に順番に浸かることで体の中の血と霊圧を完全に入れ替え、肉体を異常な速度で回復させる。
元の霊圧が強力でない者が湯に浸かる際は、”過回復”で肉体が腐り破裂することを防ぐために超霊子で編んだ防護湯衣を纏う必要がある。
また、白骨地獄では特別な手ぬぐいを常時頭の上に乗せておかなければ、霊圧の芯が抜け出て命を落とす。
かつて浦原喜助と四楓院夜一が双極の丘の地下深くに作り出した秘密の遊び場には、麒麟殿の温泉を模して作られた、傷の回復を早める温泉が存在している。
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- 臥豚殿
- 零番隊「穀王」曳舟桐生の城とも言える、食の宮殿。
三つの巨塔は中で連なっており、中央の食卓と、炎が噴き出す階段式かまどがある調理室、巨大な木製氷室などを備えた冷蔵室がのれんで区切られている。
“義魂”の概念を作り出した曳舟の‟儀”では、食事によってその者とは全く別の霊圧を体内に取り込み、体内に別次元の霊圧を宿らせることで、その者の力の階層を上げる。
ちなみに、彼女の料理は味・食感・香りすべてにおいて完璧であるが、ごくたまに手が止まるほどの見た目をした食材が混ざっている。
さらに、料理を作る曳舟自身はデザートを作り終わるまでに全霊圧を使い切るため体形が激変する。
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- 剣八について
- 千年以上前から尸魂界に伝わる最強の称号「剣八」。
その名は瀞霊廷はもちろん尸魂界全土に知れ渡っており、ときに四十六室や貴族らの命令ですら退ける影響力をもつ。
常に自分より強い者との戦いを求め、戦いの中でさらなる強さを手にしていく姿は、敵味方関係なく周囲の者を圧倒し、時に惹きつける。
一つの時代に「剣八」は一人。真に戦いに生き戦いを愛する者に与えられるその名を得るには、出自や身分は関係なくただ強さのみが必要であり、代々決闘によって継承されてきた。
護廷十三隊内の十一番隊隊長は「剣八」の称号を持つ者が務めることが通例化しており、隊士も常時戦いを求める血気盛んな強者が多い。
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- 鳳凰殿
- 「斬魄刀」を創り出したことで尸魂界の歴史そのものであると認められ零番隊に在籍する二枚屋王悦の宮。
すべての斬魄刀のはじまりといえる無銘の斬魄刀・浅打は「刀神」二枚屋王悦によって打たれたものである。
絢爛豪華・ド派手な輝きを放つ看板をくぐった先には、ゴージャスな室内と、所狭しと集う煌びやかな女性たちが総出でお出迎え。
パラダイスともいえるGalaxy鳳凰殿…の先の断崖にひっそりと佇む小屋が鳳凰殿本殿である。
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- うなぎ屋
- 鰻屋育美が営んでいるなんでも屋。名字をそのまま店名に採用したため鰻屋と勘違いされ度々注文の電話がかかってくる。
気が強く腕っぷしも強い育美は、息子の馨を育てながらうなぎ屋の仕事をこなしている。
社員はおらず、アルバイトは一護ひとりのみ。一護が頻繁にサボるため、育美が学校まで来て一護を連行することもある。
だが関係が悪いわけではなく、育美は一護にとって姉のような存在であり、時に厳しく時に優しく保護者のように彼を見守っている。
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- 黒崎真咲
- 一護の実の母親。優しく朗らかで器の大きい、太陽のような彼女は、家族全員から慕われ黒崎家の中心ともいえる存在である。
9年前の6月17日。大雨の中、彼女はグランドフィッシャーという名の虚から一護を護って命を落としてしまう。
一護は家族から母を奪い取ってしまったと自責の念を抱き、せめて自分が家族を守ろうと心に決めて生きてきた。
死神代行となった後に再びグランドフィッシャーと対峙するも取り逃がしてしまった一護は、一層罪悪感を募らせるが、
父・一心の一言によって、自分を命がけで護った真咲の想いに恥じないよう生きることを決心する。
そして、さらに後に、破面となったグランドフィッシャーは一心の一太刀によって消滅させられた。
ちなみに、黒崎家のリビングには「真咲フォーエバー」と書かれた天井まで届く巨大な遺影が飾られており、毎年6月17日には必ず家族全員で墓参りをする。
家族の心の中心で、真咲は今も生き続けている。
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- 石田家
- 滅却師の生き残りの中でも稀有となった、純血統滅却師の一族。
竜弦の母・石田依澄は、滅却師としての石田家の純血を守る為、同じく純血統滅却師の一族ながら唯一人の黒崎家となった真咲を迎え入れようとしていた。
しかし、ホワイトとの戦闘の結果真咲に虚の魂魄が混ざったことにより、純血統滅却師は石田竜弦で途絶える。
その後、竜弦は石田家に仕えていた混血統滅却師の片桐叶絵と結ばれ、その子として雨竜が生まれるも、ユーハバッハの聖別をきっかけに体の弱かった叶絵は命を落とすこととなる。
現在の石田家は竜弦と雨竜のみで、その仲は決して良好とは言い難い。
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- 滅却師と虚
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強い魂魄を持つ滅却師は、魂魄を主食とする虚にとって格好の獲物であった。
滅却師は虚に立ち向かうべく、自身の持つ力を磨き対虚戦に特化した一族として発展していく。
彼らは“仲間の仇を討つ”という信念を持つが故に、仲間や身内を傷つけ殺す虚に対し、死神のように虚を浄化し尸魂界へ導くのではなく完全に滅却し消滅させることに拘った。
その行動は結果的に現世と尸魂界の魂魄量のバランスを崩すことになり、
死神から“虚の対処は全て死神に任せるように”と勧告をされるも受け入れることはなかったとされ、
世界を崩壊させる存在として死神の手により殲滅されることになった。
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- 斬月
- 一護の中にある虚の力。一護の父・一心の持つ死神の力と母・真咲の魂魄に混ざった改造虚・ホワイトの力が融け合ったものである。
精神世界に現れる際は一護と瓜二つだが色が反転した容姿であり、好戦的で高い戦闘能力をもっている。
激戦の中、一護が斬魄刀の力を使いきれなかった時や本当の命の危機に瀕した時に、虚化という形で表に現れ、結果として命を救っている。
最後の月牙天衝を修得するために対峙した際には、「一護自身の破壊衝動に自身の心が圧殺された姿」として完全虚化の状態で現れた。
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- 斬月
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一護の中にある滅却師の力。滅却師であった一護の母・真咲より受け継がれ一護の力の一部となった。
一護自身のことを護りたいという思いを強く持ちつつ成長を見守り、時に厳しい態度を見せながらも一護を導き、
時に虚の力も借り一護に斬魄刀の扱い方や戦い方を教えた。「最後の月牙天衝」を伝授する際には、二人で一つの力の化身として
一護と対峙し、「一護の護りたいもの」と「自分の護りたいもの」の違いに複雑な思いを抱きながらも、一護の歩みを手助けした。