BLEACH 千年血戦篇

SPECIAL

w.o.d. インタビュー

見えないものの大切さ――
『STARS』の歌詞に込められた想い

――『STARS』というタイトルに込められた想いをお聞かせください。

サイトウタクヤ(以下、サイトウ)

小さい頃から『BLEACH』を見て育ってきたので、僕のなかに『BLEACH』は当たり前のように存在してました。
なので、楽曲を制作するときに曲のイメージはすっと思い浮かびましたね。
個人的な解釈ですが、『BLEACH』は“目に見えないもの”をテーマにしていると思っていて。
僕が大好きな『星の王子さま』に「本当に大切なものは目に見えない」というセリフがあるのですが、『BLEACH』にも通ずる言葉だなと思っています。
“星”も似た部分があり、曇っている日の夜に空を見上げても星は見えないけれど、雲の向こうには必ず存在しています。
そんな繋がりから『STARS』というタイトルをつけました。
また、『BLEACH』はキャラクター1人1人にしっかりとした物語があるので、それぞれのことを思い浮かべたときに、複数形のほうがしっくりくると思い『STAR“S”』にしました。

Ken Mackay(以下、Ken)

初めて曲を聴いたとき、『BLEACH』の世界観にとても合っていると思いましたね。

中島元良(以下、元良)

サイトウの作詞に対して、僕は敢えて歌詞の解釈を細かく訊かないようにしているんです。
解釈は聴いた人や人生のタイミングやステージでも異なるものだと思うので、本人に訊いてしまうとその回答が正解になってしまう気がして。
なので、歌詞に対しての質問は基本的にはしません。
――『STARS』の注目ポイントを教えてください。

サイトウ

イントロにも使われているリフ(※曲の中で繰り返し使われるフレーズ)ですね。
ドラムもギターもやりすぎなほど鳴らして、すごくかっこいい仕上がりになったと思います。

元良

『BLEACH』の曲だからこそ、あの激しさになったよね。

サイトウ

アニメとのタイアップ楽曲を制作するのは今回が初めてでしたが、まずオープニングの映像に使われる89秒のメロディーを作る必要があったので、曲作りの手順も普段とは少し異なりました。
普段作曲をするときは、演奏をしながらその曲に合うテンポを探していくのですが、今回は89秒の制約にいちばんしっくりくる速度を先に決めました。
普段は僕らだけの作品として楽曲を作っているので、まず曲のテーマを決めていく段階から始まります。
ただ今回は『BLEACH』というテーマが明確にあって、しかも主人公の一護はキャラクターとしてぶれない存在なので、曲は作りやすかったですね。

元良

Cメロでは、オープニングの89秒間では聴けないフレーズもあります。
とてもかっこいいので、ぜひフルでも聴いていただけたら嬉しいです。

Ken

あと、ライブでも最高のパフォーマンスをお届けできる楽曲に仕上がっていると思います。

サイトウ

そうだね。
実は、w.o.d.はスタジオ音源でもライブサウンドになるような方法でレコーディングをしているんです。
歌やそれぞれの楽器を別々で収録する方法が現代の主流かと思いますが、僕らは1回のレコーディングですべての音を鳴らしています。
ときにミスタッチも発生しますが、ライブってそういう状況じゃないですか。
そんなミスタッチを含めて臨場感があるし、いい曲になるんじゃないかと思っています。
たとえば、焦燥感を表現したいときには、こちらが焦燥感を持って演奏をしないとそういう音楽にならないと思っていて。
聴いてくださる皆さんにより伝わる音楽を作りたいので、僕らは昔から「せーの」で全部の楽器を同じ部屋の中で一緒にレコーディングをしています。

Ken

ライブと変わらない環境でレコーディングをしているからこそ、いい意味で音源とライブに違和感が生じないし、むしろライブだとその場の熱気も相まってさらに良くなるはずです。
演奏するのがとても楽しみですね。
――『BLEACH』のオープニングテーマを担当することへの反響はいかがでしたか?

サイトウ

w.o.d.がオープニングテーマを担当すると発表された「週刊少年ジャンプ( 以下、「ジャンプ」)」(2023年WJ30号)を僕のお姉ちゃんが買ってくれたらしく、写真が送られてきました(笑)。

元良

僕もその「ジャンプ」を買いました(笑)。
あとは、友達からもたくさんの連絡がきましたね。
僕だけでなく、僕の母にもたくさんの連絡が届いたらしく、改めて『BLEACH』の影響力はすごいなと思いました。

Ken

僕らのファンの皆からも「おめでとう」とたくさん言っていただけて嬉しかったです。
w.o.d.は知る人ぞ知るバンドだったのかなと思いますが、「ここからw.o.d.がメジャーになっていくんだ!」と、応援してくれるコメントもたくさんいただきました。
あと、海外の皆さんからの反響もあって驚きました。
普段は海外の方からコメントをいただく機会がそこまでないので、やっぱり『BLEACH』はすごいなと思いましたね。

子どもの頃から日常の一部だった
『BLEACH』を語る

――『BLEACH』との出会いを教えてください。

サイトウ

記憶が曖昧なくらい小さな頃から見ていたので、いつ出会ったのか明確に思い出せないですね…。
子どもの頃にテレビをつけたら放送されていて、日常のなかに当たり前のように『BLEACH』は存在していました。

元良

僕は小さい頃から「ジャンプ」を買って読んでいました。
『BLEACH』の連載が始まる前から久保先生の作品が大好きで、『ゾンビパウダー』も読んでいましたよ。
――原作者・久保先生とはお会いしましたか?

元良

第2クールの先行上映会で初めてお会いしました。
『BLEACH』って世界観の設定や言葉の表現が普通の人だと思いつかないようなものばかりなので、これを生み出した久保先生は“本当にものすごい人”というイメージがあり、とても緊張しましたね。
でも、すごくにこやかに接してくださって嬉しかったです。

サイトウ

僕も小さい頃からの憧れなので、とても緊張しました。
『BLEACH』の主題歌を担当すると決まる前からw.o.d.の音楽を聴いてくださっていたとうかがって、本当に嬉しかったです。

Ken

「ずっと聴いていたから(w.o.d.が『BLEACH』の主題歌を担当することになって)嬉しい」と言ってくださったよね。

サイトウ

そうだね。
僕たちと同じ目線に立って接してくださったのが印象的でした。
――『BLEACH』で好きなキャラクターを教えてください。

元良

織姫が好きです。
なかでも、虚圏(ウェコムンド)に向かう前に、織姫が一護の枕元で想いを告げるシーンが大好きで…。
あの場面は僕の恋愛観そのものです。

Ken

僕は山本元柳斎が好きです。技のビジュアルもかっこいいし、そして何より強い。
シンプルにいちばんかっこいいと思うキャラクターです。

サイトウ

僕は浦原喜助の飄々としている雰囲気が、子どもの頃からずっとかっこいいなと思っています。
実はめちゃくちゃ強いし、頭もいいし…。
おいしいところを全部搔っ攫っていくずるいキャラだと思います(笑)。
ああいう人になりたいですね。

元良

強さを誇示しないところがかっこいいよね。

サイトウ

うんうん。
「千年血戦篇」からの登場キャラクターだと、零番隊もみんなかっこいいよね。
アニメではこれからですが、兵主部のシーンが本当にかっこいい。

元良

僕は零番隊だと二枚屋王悦のキャラクター性が大好き。
僕たちのライブに出てMCをやってほしいな。
斬魄刀の女の子たちも連れてきて、会場を盛り上げてほしいです(笑)。

Ken

『BLEACH』のキャラクターと一緒にライブに出演できるとしたら、僕は日番谷と出たい。
ボーカルもMCも意外とお客さんにウケそう。
――「千年血戦篇」の魅力を教えてください。

サイトウ

護廷十三隊、星十字騎士団(シュテルンリッター)それぞれのかっこよさが際立つ戦闘シーンが魅力だと思います。
あとは、これまで散りばめられた伏線も回収されていくので、そこも魅力で見どころでもありますね。

元良

「ジャンプ」で連載されていたときにリアルタイムで読んでいたけれど、声優さんの声が入って、色や動きがついた状態で見られるのがとても楽しみです。
第2クールで放送されるであろう範囲にも大好きなシーンがたくさんあるので、待ち遠しいですね。

Ken

先行上映会で第14話と第15話を拝見し、第14話の冒頭の重厚感がすごかったよね。

元良

漫画のコミカルさが少し抑えられていて、よりシリアスさが際立っていたからすごくハラハラした。

Ken

シリアスで戦闘シーンも多いけど、テレビ静岡では朝帯で放送されるんだってね(笑)。

元良

あの重厚な場面が、朝に流れるんだね(笑)。
――『BLEACH』で印象に残っている用語や言葉を教えてください。

元良

(吉良)イヅルの斬魄刀『侘助』の「面(おもて)を上げろ」という解号がかっこよくて好きです。
原作の『BLEACH』は、たとえば「滅却師(クインシー)」のように漢字と読み方が異なる表現がたくさんありますが、漢字の並びだけでもかっこいいし、読み方だけでもかっこいい、どちらもあわさるとさらにかっこいいという、漫画だからこそ映える表現がたくさんあって、本当にオシャレだなと思います。

サイトウ

かっこいいよね。
キャラクターのセリフだと、護廷十三隊を裏切った藍染が日番谷に放った「…あまり強い言葉を遣うなよ 弱く見えるぞ」というセリフが衝撃的だった。

元良

「千年血戦篇」では、輝いているマユリ様の“あの”セリフがいちばん好き。
ここでは詳しく言えないので、皆さんはぜひ本編でご確認ください。
ていうか、マユリ様のセリフは全部かっこいいと思います。
――「-訣別譚-」にちなんで、最近“訣別”したものはありますか?

サイトウ

最近引っ越しをしたので、集めていた服を断捨離して訣別しました。
なかでもバンドTシャツやロックTシャツがものすごい枚数あったんです。
本当は訣別したくなかったのですが、自分の居住スペースがなくなってしまうほどの量だったので、最後に写真に収めて訣別しました。
同様にギターも部屋のスペースを奪うほどたくさんありますが、ギターにはそのどれにも思い出が詰まっているので訣別できませんでしたね。
ギターはケースに入れずに出しっぱなしにしていると状態が悪くなってしまうのでハードケースで保管するのですが、そうすると一回りくらい大きくなってしまうんです。
なかには、テレビよりも大きいサイズのものもあったりして(笑)。
けれど、かけがえのないものなので、これからも大切にしたいと思います。
――TVアニメをご覧の皆さまにメッセージをお願いします。

サイトウ

小さい頃からずっと見ていて、もはや僕の一部でもある『BLEACH』への想いを『STARS』に込めました。
でも『BLEACH』だけを歌ってしまうと血が通ってない音楽になってしまう気がしたので、人生を重ねるなかで僕が経験した嬉しいことや辛いことといった感情、想いもたくさん詰め込んでいます。
人それぞれ響くポイントがあると思うので「-訣別譚-」のオープニングテーマとしても、ひとつの音楽としても、楽しんでいただけたら嬉しいです。

Ken

素晴らしい作品にオープニングテーマとして携わることができてすごく嬉しいです。
『BLEACH』のキャラクターや、映像から伝わる作り手の皆さんの熱量にたくさんの刺激をもらって、僕もさらに頑張ろうと思いました。
視聴者としても放送を楽しみにしています!

元良

僕は本当に『BLEACH』のいちファンなので、とにかく放送が楽しみで楽しみで仕方がありません。
僕もファンの皆さんと一緒に放送を楽しみにしたいと思います!