BLEACH 千年血戦篇

SPECIAL

折笠富美子(朽木ルキア役)インタビュー

まずは考えるよりも心で感じ取る
洗練された魅力の数々

――「-訣別譚-」の魅力や見どころを教えてください。

折笠富美子(以下、折笠)

「すごい!」「かっこいい!」と、見た瞬間に焼き付くような感覚が魅力なのではないでしょうか。
でも、「ここがこういう風にいい」と具体的な分析の言葉に換えると、その感動がすぐに劣化してしまう気がしていて……。
なので、頭で考えるよりも先に、心で感じ取っていただけたらいいなと感じます。
そんなファーストインパクトを存分に楽しんだあとに「このキャラクターのこの言葉にこんな想いが込められているのか」と咀嚼していただくことで、より深く物語を味わえるのかなと思います。
――満を持してルキアが卍解しましたが、どのような印象を抱かれましたか?

折笠

仲間との関わり合いや様々な戦いを経て、ルキアも大きく成長しています。
一護もそうですが、「うおぉぉー!」と荒ぶり戦っていた頃を経て、今は一撃に集中する戦い方をしている印象があって。
音楽にたとえるなら、必ずしも音符がたくさんあるほうが素敵なわけではなくて、むしろ少ない音符の数でどれだけ魅了できるか。
剣の振り方に無駄がなくなって、より洗練されたからこそ繰り出せた卍解なのかなと思います。
原作でルキアの卍解が描かれる前、“氷雪系の斬魄刀”ということで「冷たい」「鋭い」「光っている」のようなイメージをぼんやりと連想していましたが、想像の遥か上を行く美しさに感動を覚えました。
――白哉との会話も印象的でした。

折笠

ルキアは認めてもらうことを目標に鍛錬を重ねてきたわけではないと思いますが、やっぱりルキアを演じる身としては、白哉兄様の言葉は嬉しかったです。
白哉兄様の寄り添い方はいつもとても絶妙な距離で、ルキアを大切に想い、そして何より信じていることが伝わります。
そんな白哉兄様の支えにルキアも助けられているんだろうと思います。
ルキアのなかで、改めて「兄様が見つめている正義へと自分も歩むのだ」という気持ちが強まる、帯をグッと締めさせてくれるような場面だったと思います。
――卍解のシーンを演じられた際の、率直な感想をお聞かせください。

折笠

ずいぶん前から「ルキアの卍解を楽しみに待っています!」とファンの方々や友人達からたくさんのお声を頂いていたので、収録日までは心に生まれた緊張や恐怖と戦っていました。アフレコが終わったあと、監督と久保先生から「めちゃめちゃ良かったです」というお言葉を頂けて、とてもホッとしました。
精一杯の力を出して演じましたので、どうか視聴者の皆さんにも楽しんでいただけたらいいな……と祈っています。
――アフレコはいかがでしたか?

折笠

置鮎さん(朽木白哉役)と松岡さん(エス・ノト役)と一緒に収録をさせていただけたことが心強かったですね。
それぞれが自分のお芝居やキャラクターと向き合う真剣な時間で、集中していたスタジオは心地よい空気がひろがる戦場でした。
「破面・激闘篇」でルキアとアーロニーロ(・アルルエリ)の戦いが描かれましたが、「今回もなかなかに心理戦で抉ってくるタイプの敵です」と、休憩中に置鮎さんとお話しさせていただいたことも印象に残っています(笑)。

ルキアとの出会いや、自身の価値観――
これまでを振り返る

――『BLEACH』との出会いを教えてください。

折笠

オーディションを受けるにあたり、初めて原作を読んで「とても面白いな」と引きこまれました。
実は、ルキアではない役のオーディションを受けたのですが、急遽「ルキアも演じてみてほしい」とリクエストを頂いて。
ルキアがどんな声なのかイメージを掴み切れていないなかでのオーディションでしたが、スタッフさんもルキアをどういうキャラクターにするか悩んでいたようで、「もう少し声を低く」「もっと圧を込めて」と様々なパターンを試した結果、ルキア役をやらせていただくことになりました。
皆さんと作っていったルキア像ですが、オンエアを見ては反省して、また次のアフレコに奮起し…ルキアといっしょに成長するような日々を送っていましたね。
――『BLEACH』で印象に残っている用語や言葉を教えてください。

折笠

たくさんありますが、藍染の「…あまり強い言葉を遣うなよ 弱く見えるぞ」というセリフ。
難しい言葉は含まれていないのにとても深く刺さるので、印象に残っている言葉です。
あと、鬼道の詠唱もかっこいいですね。
ルキアは死神達の中でも完全詠唱で鬼道を発動することが多くて、鬼道を使う機会がない一護役の森田(成一)くんから「いいな~」と羨ましがられます(笑)。
――ルキアは零番隊のもとで修業していましたが、折笠さん自身が修業もしくは修行したことはありますか?

折笠

声優になる前は劇団に所属していたのですが、1年間かけてマーチングドラムを特訓した日々は修行のようでした。
両手にタコを作り、痛めた箇所にテーピングをしながら、毎日毎日励んでいました。
でも、何事もなるべく楽しみたい性格なので、いかに楽しみながら頑張るかを学ばせていただいた経験でした。
――「-訣別譚-」にちなんで、最近“訣別”したものはありますか?

折笠

物を買うときの妥協と訣別するように心掛けています。
「まぁこれでいいや」と妥協して手に入れたものは、後になって「やっぱりこっちがいい!」と、より自分の暮らしにフィットするものに買い替えたくなる。
最初によく吟味して「これがいい!」と心に響いた1つのものをずっと大切にしていけたら、幸福度が上がるのかなと思っています。
丁寧に心の声を聞いていたいですね。
――TVアニメをご覧の皆さまにメッセージをお願いします。

折笠

ここまでご覧いただいた皆さんであれば、言わずとも「今後の展開に目が離せない!」と楽しみにしてくださっていると思います。
引き続き、『BLEACH』の世界を深く味わっていただけたら嬉しいです。
「千年血戦篇」全体は分割で第4クールまで続くので、私も精進しながらルキアの出番を心待ちにしています!