BLEACH 千年血戦篇

SPECIAL

花江夏樹(グレミィ・トゥミュー役)インタビュー

昔から親しんだ『BLEACH』
今と昔で移り変わる作品の捉え方

――『BLEACH』との出会いをお聞かせください。

花江夏樹(以下、花江)

『BLEACH』の連載が始まった中学生の頃から読んでいました。
当時、僕の祖母が1ゕ月分の「週刊少年ジャンプ」を、毎月お小遣いと一緒に送ってきてくれていたんです。
そのときに『BLEACH』を読み始めました。
『BLEACH』はもちろん、久保先生の作品が大好きで、じつは初めて自分のお金で買った漫画が『ZOMBIEPOWDER.』なんです。
久保先生とアフレコ現場でお会いした際に、思い切ってそのことをお話しさせていただきました。
――『BLEACH』で好きなキャラクターを教えてください。

花江

砕蜂が好きです。
太ももの両サイドに切れ目がある刑戦装束を着ているじゃないですか。
当時中学生の僕は、その切れ目をまたぐように付いている紐を見て「この紐はなんだ」と惹かれまして(笑)。
そんな大人っぽいところが好きですね。
あと「弐撃決殺」も、あえて“一撃”ではないところがかっこよくて刺さります。
――大人になって『BLEACH』の解釈や捉え方が変わったところはありますか?

花江

中学生の頃は“足し算”にかっこよさを覚えていたんです。
たとえば、『斬月』は卍解したらシュッと細くなりますが、当時の僕は「もっと派手に、もっと追加してほしい」と思っていて(笑)。
ところが、大人になって“引き算”の魅力を覚えると、むしろシュッと細い『斬月』がかっこよく映るようになりました。
また、敵として描かれているキャラクターにも感情移入するようになりましたね。
昔はどうしても主人公を応援したくなるので、敵に対して「嫌な奴だな~」と思っていましたが、敵側にもそのキャラクターなりの正義があるという視点で読めるようになりました。
――『BLEACH』で印象に残っている用語や言葉を教えてください。

花江

学生の頃、『BLEACH』に登場する技名や用語を友達の前で披露するのが流行っていたんです。
そのときに「これを言えたらかっこいい」といちばん流行っていたのが「黒棺」の詠唱だったので、「黒棺」が印象に残っていますね。
ほかにも「卍解!」「大紅蓮氷輪丸!」と、みんなで言っていました。

余裕、恐怖、歓喜――
戦いのなかで変化するグレミィの感情

――「千年血戦篇」の魅力を教えてください。

花江

『BLEACH』とともに育ってきた人たちが、再び『BLEACH』を毎週楽しみにできる状況がすごく素敵ですね。
僕も含めて、子どもの頃から今もずっと『BLEACH』が大好きという人がたくさんいると思うので、長い歴史を重ねてきた作品なんだなと改めて実感します。
そして、ファンが見たいものを熟知して、とても丁寧に描いていらっしゃるアニメということも魅力的ですね。
総監修である久保先生や、田口監督をはじめスタッフの皆さんの手腕だと思います。
――グレミィの役作りはどのように行いましたか?

花江

主人公であれば設定がきちんと作られていることが多いので、だいたいの性格は掴めてくるんです。
けれど、グレミィのように物語の途中から登場するキャラクターはヒントが少ないので、描かれているセリフからキャラクターの芯を捉えていく作業をしました。
まず演じるキャラクターの核となる部分を1つでも理解できれば、そこを基点にブレずにほかの要素を構築していけばいいので、役作りをしていきやすいんです。
なので、キャラクターの見た目や表情も重要なヒントではありますが、セリフや言動から読み解いていくようにしました。
ただ、グレミィは「こう言っているけど実際はどう思っているのか」と本心が掴みづらいキャラクターだったので、田口監督や久保先生に確認しながら、役を落とし込んでいきました。
――グレミィを演じるうえで注意したことはありますか?

花江

すべて想像通りに物事が運ぶことに対して、「どうせ自分の思い通りになる」という退屈さや虚無感があったと思うんです。
ただ、圧倒的な強さを持つ(更木)剣八に出会ったグレミィは、負ける恐怖や焦りのほかにも、想像通りにいかない強敵に出会えた喜びや、想像を超えてくる剣八に対する嬉しさを感じたのかなと思っています。
「剣八を倒したい」という純粋な気持ちがみなぎっていたと思うので、その高ぶりを表現できるよう心掛けました。
最期にポロポロと散っていく場面は、呼吸できているのかさえわからないので、残された空気でどうにか喋っているシチュエーションだと仮定して、言葉を発し終わるまでなるべく息継ぎを控えながら演じました。
――立木さん(更木剣八役)とのアフレコはいかがでしたか?

花江

グレミィから見た剣八は「何を原動力にこんな動いているんだ」という底知れない恐怖があると思っているんですけど、その怖さを立木さんのお声から感じました。
剣八の強さに立木さんのお声も合わさって迫力が凄まじかったので、グレミィとして強さや余裕を出していくのは大変でしたね。
また、これまで立木さんとあまり共演する機会が無かったので、色々なお話しをさせていただけて嬉しかったです。
――「-訣別譚-」にちなんで、最近“訣別”したものはありますか?

花江

昔からゲームをすることが趣味でしたが、プライベートではやらなくなりましたね。
僕のYouTubeチャンネルで投稿する動画はゲーム実況がメインなので、その撮影で十分楽しめていることもあって、家族と過ごす時間を増やすほか、最近始めた英語の勉強に時間を割くようになりました。
――TVアニメをご覧の皆さまにメッセージをお願いします。

花江

子どもの頃から読んでいた『BLEACH』に出演するというのは夢のようなお話しだったので、グレミィとして携わることができて本当に嬉しく思っています。
これからも世代を超えて色々な方々に楽しんでいただけたら嬉しいです。
ぜひ一緒に盛り上がりましょう。